経営者の能力開発 怒り出すと止まらない社長 | |
従業員約250名、機械メーカー、代表取締役社長、51歳、男性 怒るのは熱意がある証拠だが、空回りすると誰も止められない。 本人も社内も困ったことになる。 |
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◆当初の状態 | |
社員に怒り出すと止まらなくなる。5年ほど前までは怒ってもあっさりしていた。それが、年々怒る時間が長くなってきた。最近は、30分、1時間とすごいエネルギーで怒り続ける。しかも、何年も前の出来事を持ち出して怒るので、怒られている人も周囲の人も嫌気をさす。経営幹部は差し障りがないことしか報告しなくなっている。大切な情報が入ってこない状態であり、品質やクレームで事故を起こすと取り返しがつかない大きな問題になりかねない。 社外の親しい先輩経営者から何度も注意をされている。そのときは反省するが、行動に変化は起きていない。有名なお寺の住職から指導を受けたこともあり、その後は1カ月ほど落ち着いていたが、元に戻ってしまった。 |
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◆面接 1回目 | |
まずはていねいに話を聞いた。どういう会社にしたいのかというビジョンを確認した上で、どんなときに怒るのか、怒るときは相手に対してどんな期待があるのか、怒ることで何を伝えたいのか、怒った後は何を感じるかを質問した。 印象的だったのは、怒った後は相手がどう受け取ったかをとても気にしていて、またやってしまったと後悔していることである。 そして、以下のアプローチを実施した。 ![]() 筋肉テストをすると、予想通り体の左側の筋肉が機能低下を起こして弱くなっていた。イライラしている人に共通するパターンである。これらの筋肉を調整することで心身のバランスを整えた。 ![]() 怒り出すときのパターン、怒りが増幅するパターンがある。それらをていねいに聞き出した上で、身体反応を変えるアプローチを図った。 |
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◆面接 2回目 | |
前回からの変化を聞いた。怒り続けることが少なくなっているという。イライラするような出来事が減ったからか、面接の効果なのかはまだ実感はないが、前回の面接後は明らかに減っている。 そういう話を穏やかな表情で話してくれた。前回の最初とはかなり違う柔和な表情である。私たちは相手の話す内容と表情や声、姿勢などの非言語的メッセージが一致しているかどうかを重要視する。今日の話からは、前回とは内面的な状態や行動が変化していることが確認できた。 その上で、以下のアプローチを実施した。 ![]() 前回ほどではないが、体の左側の筋肉が機能低下しているところがあったので、調整した。 ![]() 下半身の筋肉の慢性的緊張をゆるめていった。小さなことにイライラせず、気持ちが落ち着く効果が期待できる。 |
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◆その後の職場での変化 | |
以前のような険しい表情が少なくなり、落ち着いているように見える。 経営幹部の話では、以前より話しかけやすくなったという。 社長ご本人も、怒った後に自分を責めていたが、責める必要がなくなって楽になったという。 |